うりずんの始まりに心踊らせ
梅雨の湿気も抱いたまま
足下に咲いた月桃の花
夏の空に目を奪われて
夏の海に匂い誘われて
夏の花に気がつかぬまま
満ちる月夜に心踊らせ
星の光を遮るままに
夜空に咲いた大輪の花
夏の歌に喉を震わせて
夏の舞に心踊らせて
夏の君に気を向けぬまま
島を訪れるカジフチに
咲いた気持ちに気がつかぬまま
紛れて散りゆく月桃の花
秋の風に足を止めて
秋の囁きに気がつかぬふり
秋の君に気を向けたまま
秋の月夜に空を仰いで
星の光が流れぬままに
紛れて散りゆく月桃の花
地に垂れゆく月桃の種
季節を跨いだその先に
再び来るかな島の夏
秋の種が芽を出して
再び咲くかな月桃の花